かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2012.2.24 update.
北海道出身。独身時代、秋田書店の少女誌でデビューするも、挫折し一時休業。2006年、夫の病気をきっかけにマンガ家活動再開。現在、『怖い女の仕返し』(ぶんか社)でコミックエッセイ『めおと健康道』好評連載中。その他に『別冊家庭サスペンス』(セブン新社)等でストーリーマンガ、医学書院の看護雑誌に4コマ・カットを執筆中。趣味は野球やサッカーなどのスポーツ観戦。(10年前は実際にフットサルに励んでいたちょこっとだけ“なでしこJAPAN”)
「かんかん!」にてご自身の開腹手術体験記としてマンガ「靴下がはけるまで」 を連載された日野あかねさんの本『のほほん亭主、がんになる。~ステージⅣから大逆転!』がぶんか社より発行されました!
今回発売された「のほほん亭主~」では、夫の日野カオルさんが悪性リンパ腫を宣告されてからの闘病生活が、治療の進行に沿って、精神的落ち込みや喜び、家族とのつながり、入院生活の具体的な描写なども交えながら、読みやすいマンガで描かれています。
今回は著者の日野あかねさんに闘病生活を振り返ってもらいながら、インタビューしました。
――書籍の発行おめでとうございます。退院から少し時間もあり、その間にご自身の入院体験もありました。このタイミングでの本の発行にも苦労された点が多かったのではないでしょうか?
夫、わたしの日記からエピソードを抜き出したわけですがなにせ濃密な半年間。どこを載せどこをはぶくか色々考えました。
――今回の本はどんな人に読んでもらいたいですか?
病気の方、家族の方はもちろん病気に興味のある方全般に読んで頂きたいです。
――あかねさんは「心配性」、カオルさんは「楽天家」ということですが、闘病にあたってその性格でよかった点と悪かったなぁと思う点はありましたか?
よかった点は楽天家の主人の笑顔を見て安心できたこと。
悪かった点は宗教に誘われてつい心が動いたこと。結局入信はしませんでしたが気持ちの強い夫に比べわたしはまだまだだなあと思いました。
――告知をうけ突然カオルさんが入院することになりましたが、病院・医療についてもともと思っていたイメージと違った点はありましたか?
夫の病棟はそれこそ余命を宣告された方も含めて重い疾患の方ばかりだったのにすごく明るかった。それが意外でした。
医療については抗がん剤の種類、副作用を事細かに教えて頂き情報開示がここまで進んでいるのかとビックリしました。
――病気について色々調べてカオルさんに届ける場面がありましたが、具体的にはどのようなもので調べたのでしょうか。
参考図書はナース用の悪性リンパ腫がかかれた本です。その当時の最新医療が書かれており治療に使われていた薬剤がまさにそのままだったのですごく嬉しかった覚えがあります。あと同疾患の体験記のブログなんかが励みになりました。
――お仕事のことやお金のことで苦労された話がありましたが、どのように乗り越えていったのでしょうか。相談できるような人はいたのでしょうか?
当時わたしは簡単なパートの仕事しかしておらず、夫が解雇されたことに相当焦りました。専門職に復帰するには技術体力がおぼつかずどうしたらいいものかと。お金はがん保険でまかなえ助かりました。
相談は姑、実家の両親に主にしていました。
――カオルさんを支えるなかで、ご家族のあかねさん自身もマンガを書くことを選んだり、積極的に料理をしたり、前向きに何かに取り組む様子がみられました。ご家族としてその頃の心境を教えてください。
とにかく夫のおかれた環境に比べたらわたしの悩みや苦労なんてちっぽけな物だと思っていましたね。マンガは腕に覚えがあったのと在宅仕事というのが魅力でした。料理は苦手ですが免疫が上がる食事について友人が色々調べてくれて一時は頑張ってました。今は生活習慣病の予防につとめてます。
――本には、カオルさんの病院での「患者さん」としての一面だけでなく、家で泣き叫ぶ姿や、帰宅して家族でご飯を食べる場面や犬の散歩をする場面など、病院以外での場面も多く、それらは特に印象的でした。
特別な事件に遭遇すると(この場合はがん)日常のささいなこともとても愛しいんですよ。その気持ちを伝えたくて散歩、食事のシーンを入れました。
――現場で働く看護師さんや医療者にメッセージがあれば
入院中は何かと親身になってくれるナースや主治医の千葉医師にお世話になりました。特に千葉医師はユーモアもある方で色んな場面でリラックスさせて頂きました。
治療に至っては最新の抗がん剤でも保険の効く物を一生懸命探してくれたり患者の立場に立ってくれたと思います。
現場の空気を左右するのは医療者のみなさんです。体調に気をつけて明るく元気に患者さんに接して下さると嬉しいです。
――実際に闘病されている方、ご家族にメッセージがあれば
どんな時も勇気と希望を忘れず一日一日を悔いのないように生きて下さい。
あと時には周囲の人に思い切り甘えたらいいと思います。
家族の方は十分な休養をとり気分転換をはかり患者さんを支えるために頑張って下さい。
――ありがとうございました。
「ご主人はがんです…」“深く悩まない”がモットーだったお気楽亭主につきつけられた突然のがん宣告! さすがの彼も涙に暮れるかと思いきや…、死に直面してもなお、とことん明るく前向きな夫・カオルの闘病生活が始まるのだった! まんが家の妻・日野あかねが描く、レベル?から笑顔の生還を遂げた夫の泣き笑い闘病記! 単行本化にあたり、退院後に夫婦が入院生活を振り返ったおまけまんが、闘病中につけていた夫の日記、主治医の後日談、夫へのインタビュー記事など本編のまんがの面白味を倍増させる特典も満載!