かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2012.1.08 update.
看護師長の立場にある方で,マネジメントスキルを磨くために,一般のビジネス書を読んだり,企業人を対象にしたマネジメントセミナーに参加した経験がある方も少なくないのではないか。
ただ,医療専門職のチーム,診療報酬や交代制勤務など,一般の企業とは異なる運営基盤をもつ看護部門で求められるマネジメントスキルには,特有のものも少なくない。多忙な看護師長の皆さんのなかには,一般的スキルと看護特有のスキルを,ワンパッケージで身につけられたら,との思いをもつ方も多いのではないだろうか。
こうしたニーズに応えるセミナーが「ジョンズホプキンス ナースマネージャー アカデミーin Japan」。
ナースマグネットホスピタル,エビデンスに基づく質の高い医療を提供する病院として著名な,米国ジョンズホプキンス大学病院看護部と同大学看護学部が共同運営するThe Institute for Johns Hopkins Nursingが,10年ほど前に開発し,昨年から日本でも開講されている。2011年9月に東京で開催された初回のセミナーを取材した。
本文の最後に次回6月の開催情報を掲載!
本セミナーの特徴は,3日間のコンパクトな集中プログラム, 24人までの少人数で,看護マネジメントに必要な思考のプロセスを実践的に身につけられること。全体構成を4つの主要項目(表)にフォーカスし,効率的な学習が可能になっている。
表:
1) リーダーシップを追求する
2) マネジメントの達人になる
3) 効果的なコミュニケーション・マネジメントを学ぶ
4) 成果の出るチームを作る
実際の研修プログラム(PDF参照)は,ジョンズホプキンス大学病院や日本のベテラン看護管理者を講師に,インタラクティブな形式で展開される。
各セッションごとに,テーマとなっているマネジメントスキルのフレームワークを学習した後,自職場や参加者自身のマネジメント上の課題をイメージしながら,グループや個人でのワークやケーススタディを行なう実践的な内容。
ハウツーではなく,思考のプロセスを学ぶことで,明日から使えるスキルとして身につけることが可能になるように感じられた。
また,日本での研修内容は,米国のプログラムを杏林大学病院看護部の協力で,日本版にカスタマイズした内容になっており,特に日米の差異が大きい,人材,財務マネジメントについては日本のシステムに即して学習できるよう,工夫されている。
・Leadership Activity:リーダーとしての活動
3日間の集中プログラムは,アメリカと日本をオンラインで結び,ジョンズホプキンス大学病院外科看護部長による,成果をあげるリーダーシップを考えるためのセッション「リーダーとしての活動」でブレーク。病棟看護リーダーのコンピテンシー,体系的な教育が確立されている同病院のトップマネジメントによる講義は示唆に富み,参加者の関心を集めていた。
・Building Self Awareness:自分を知る
このセミナーのひとつの大きな目玉と言える「自分を知る」のセッション。エマジェネティクス(註参照)という40万人分のデータベースに基づく,行動,思考パターンの自己診断ツールを使い,自らの傾向をチームビルディングやコミュニケーションにどう活かしていけばよいのか,思考のトレーニングを行なった。
参加者一人ひとりに,エマジェネティクスによるプロファイリングシートが手渡され,文字通り「自分を知る」ことができるセッション。
自己の傾向を知ることに加え,マネジメントのパートナーである主任や,チームスタッフ個々の行動,思考パターンを推測しながらチームをつくっていくことの重要性が説かれ,参加者は,成果の出せる強いチームをつくるためのひとつの根拠を得ることができたようだ。
註:エマジェネティクス
100の質問項目を通じ,人のタイプを4つの思考スタイル(分析型/ディテール型/社交型/コンセプト型)と3つの行動スタイル(自己表現性/自己主張性/柔軟性)で表現するもの。人の資質のよい,悪いを決めるものではなく,強み,個性として活かすためのプロファイリングツール。
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初回の参加者の所属施設は1000床クラスの大学病院の看護師長から,介護保険施設の看護管理者まで,施設規模,医療機能もさまざまだったが,マネジメントの思考プロセスを培う本セミナーの内容は,どの施設でも有効なスキルと感じられた。
2012年6月22日(金)―24日(日)の3日間,次回セミナーが東京(都市センターホテル)で開催される。
お申し込み,お問い合わせはファーストスターヘルスケアまで。