2010年度保助看国家試験合格者発表

2010年度保助看国家試験合格者発表

2011.4.18 update.

第100回を迎えた看護師国家試験,例年並みの合格率

 

厚労省は3月25日,2010年度の第97回保健師国家試験,第94回助産師国家試験および第100回看護師国家試験の合格者を発表した。

 

合格率は保健師86.3%,助産師97.2%,看護師91.8%。前回83.1%と落ち込んだ助産師の合格率は例年並みに回復。「選択肢が不明確」「設問文が不明確」「設問の状況説明が不適切」などにより採点対象から除外された問題は助産師国家試験で4問あった。

 

看護師国家試験では,経済連携協定(EPA)により来日したインドネシア人看護師候補者からは15人(08年入国13人,09年入国2人),フィリピン人看護師候補者からは1人(09年入国)の合格者が出た。

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EPA候補者の滞在期間を延長

 

今回の看護師国家試験では,「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム」(座長=福島医大・中山洋子氏)が作成した2010年8月のとりまとめを受け,試験の質を担保した上で,日本語を母国語としない看護師候補者にとってもわかりやすい問題文が作成された。

厚労省は「難解な漢字へのふりがな付記や疾病名への英語併記等の対応策約200か所について対応を図った」としている(→MEMO)。しかし,看護師候補者の合格率は今回4.0%と,依然として厳しい状況が続いている。

 

看護師候補者は,看護師免許が取得できない場合,これまで3年しか滞在が認められていなかったが,政府は合格発表に先立つ3月11日に,08年,09年に入国した看護師候補者と介護福祉士候補者について,一定条件を満たせば滞在期間を1年間延長することを閣議決定した。

看護師候補者の条件には,候補者本人から来年度国家試験合格に精励する意思が表明されていること,受入機関が来年度国家試験に向けて候補者の特性に応じた研修改善計画を作成し,適切な研修を実施するとの意思を表明していること,10年度国家試験の得点が一定の水準以上であること,などを挙げている。候補者本人,受け入れ施設双方に厳しい選択が迫られそうだ。

 

被災者の卒業証明書・修業証明書は提出期限を延長

 

発表会場の1つとなった東京・厚労省講堂には,受験者やその家族,学校関係者,病院関係者らが詰めかけた。発表の14時になると,受験者らは一斉に合格者の番号が記された資料と自分の受験票を照合。会場は歓声に包まれ,あちこちで合格の喜びを分かち合う姿や,いちはやく携帯電話で合格を報告する姿がみられた。

 

取材に応じた看護師国家試験合格者が「試験内容は簡単だった」と口を揃える一方,助産師国家試験合格者は「これまでのように正常を問う問題ではなく,異常を問う問題が多かった」「臨床に根差した内容が多かった」と述べた。また,3月11日発生した東日本大震災を受け,「震災などの非常時にも役に立てる看護師になりたい」との声も聞かれた。

 

厚労省は,東日本大震災の被災により受験に関する書類「卒業証明書又は修業証明書」を定められた期限までに提出できない受験生(災害救助法の適用市町村に居住する受験生又は当該地域に所在する学校養成所等)に対し,証明書の提出期限を4月28日まで延長すると発表。延長期限日においても提出が間に合わない受験生については個別に状況を確認する方針だという。

 

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MEMO:日本語を母国語としない看護師候補者への対応策の具体例

 

●一般的な用語(専門用語以外)への対応

難解な漢字への対応

医学・看護専門用語以外で,常用漢字外あるいは読み方が難解と判断された漢字に対してふりがなが振られた。⇒全8か所

例)絨毯(じゅうたん),配膳(はいぜん),怪我(けが)

疾病名への英語の併記

疾病名と,厳密には疾病名ではないがそれと同様に扱う必要がある病態名等には英語併記がなされた。⇒全163か所

例)脳梗塞(cerebral infarction),切迫性尿失禁(urge incontinence),呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome),大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)

国際的に認定されている略語等に英語併記がなされた。⇒全20か所

例)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌<MRSA>,生活技能訓練<SST>,経皮的冠状動脈形成術<PTCA>

外国人名への原語の併記。⇒全3か所

例)ヤール(Yahr, M. D.),マズロー, A. H.(Maslow, A. H.),フロイト,S.(Freud, S.)

 

*その他,より平易な用語への置き換えや,あいまいな表現の明確化,否定表現の肯定表現への置き換えなどの対応が図られた。

   

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週刊医学界新聞2011年4月18日発行看護号

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