第51回 続・がんの放射線治療のメカニズム

第51回 続・がんの放射線治療のメカニズム

2021.12.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|さらに進化し続ける放射線治療

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●放射線治療の進化:陽子線と重粒子線

 

前回解説した通り、「X線」を体外から照射すると、人体の表面で線量(=X線の効果)が最大となり、体内の奥へゆくにしたがって、徐々に線量が減少してしまいます。

つまり、体内の奥にあるがんにX線が届く時には、効果が減少しているのです。

一方、放射線の中でも、粒子線である「陽子線」「重粒子線」には、その問題がありません。陽子線や重粒子線は、減衰することなく人体の中を進み、ある点で停止します。その停止する直前に一気にエネルギーを放出するという性質をもっているのです。この性質を「ブラッグピーク」といいます。

 

ですので、がんの場所で停止するように調整して照射すれば、体表や人体の浅い場所に影響を及ぼすことなく、がんの治療 に最大の効果を与えることができるのです。

X線は活性酸素を発生させてがんを攻撃する効果をもっていましたが、陽子線、重粒子線にはその効果はありません。それでもなお、陽子線、重粒子線はX線よりも強い治療効果をもっています。

 

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前回と今回の2回にわたって、ここまで放射線を体外から照射する「外部照射」について解説してきました。

 

その他の治療法として、体内から照射する「内部照射」があります。

 

①甲状腺がんに対しての「放射性ヨード内用療法」

甲状腺には、もともとヨードを取り込む性質があります。ですので、放射性ヨードを内服すれば、甲状腺に取り込まれ、その場で放射線を出すことによってがん治療ができます。

 

②前立腺がんなどに対しての「小線源治療」

前立腺にラジオアイソトープ(放射線を出す線源)を留置して、内側から治療する方法です。

 

以上のように、がんの種類や場所によって、放射線の種類、照射方法が使い分けられています。

科学や電子機器は今後も進歩し続けるとともに、放射線治療は、科学技術の進歩による直接的な恩恵を受けやすい領域です。今後の進歩に期待が寄せられます。

 

参考

患者さんと家族のための放射線治療Q&A 2020年版 第2版

がん情報サービス 

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 QST病院

日本放射線技術学会

厚生労働省:先進医療を実施している医療機関の一覧

 

 

(了・次回へ続く

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