第44回 がんの外科療法のメカニズム

第44回 がんの外科療法のメカニズム

2021.7.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|がん治療の“柱”たちの紹介

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●がんの外科療法――手術の3つの特長

 

第41回はがんの治療における「集学的治療」について解説しました。

がんの治療といえば、古典的には「外科療法」「化学療法(抗がん剤)」「放射線療法」の3大療法が柱になっています。そこに、4番目の柱として「免疫療法」が登場しました。

また、がんの治療と並行して、身体的・精神的な苦痛を和らげるための「緩和ケア」も発展し続けています。

今回からは、それぞれの治療法について解説していきます。

 

まずは、すべての治療法の根幹ともいうべき、外科療法についてです。

外科療法には、以下の3つの大きな特長があります。

 

①根治(完治)を目指せる

今までもたびたび解説してきたとおり、がん診療においては早期発見・早期治療がもっとも大切です。血液のがんなど一部の例外を除き、がんは局所にとどまっている早期に見つけて、「体から切り離す」こと、つまり「外科療法」を行うことが、根治を目指すための重要なポイントになるのです。

外科療法は、今も昔も変わらず、がん治療における重要な柱でありつづけています。

 

②詳細な病理診断ができる

第39回でも解説した通り、本来病理診断というのは手術「前」に行うものです。ただし、がんの生じた臓器、場所によっては、組織の採取が難しく、事前に病理診断を確定できないケースもあります。そういったケースでは、病理医のスタンバイのもとに手術を始めて、組織を採取し、手術「中」に病理診断を行うこともあります。これを「術中迅速病理診断」といいます。

良性なのか、悪性なのか、分化度はどうか、リンパ節に転移しているのかなどを調べます。そしてその情報をすぐ執刀医にフィードバックして、どの手術方法で、どの範囲まで切除するのが最適なのかを決定するのです。

 

また、手術で得られた組織を使って、遺伝子変異の有無などを調べ、術後化学療法や免疫療法をどうするか決定することもあります。肺がんや乳がん、泌尿器系のがんなどで→よく行われています。これについては回を改めて解説いたします。

 

③再建をする

がんは、肉眼的に確認できる部分だけにあるのではなく、その周辺に小さながん細胞が散在している場合があります。

そのため、ある程度の(サージカル)マージンを含めて広範囲に切除する必要があります。その結果、元来その部位にあった臓器としての機能は失われることになるし、複雑に連結し合った臓器同士の位置関係に空白ができることになります。

その影響を最小限にするために、臓器と臓器を再配置したり、人工物で代替したりすることになります。これを「再建」と言います。

 

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さて、外科療法ががん治療の重要な柱であるのは間違いありませんが、医療の進歩に伴って、外科療法の中にも複数の選択肢があり、複雑になってきています。

たとえば消化器系のがんの場合、基本となる「開腹手術」の他、「内視鏡手術」「腹腔鏡手術」「ロボット手術」など状況に応じて様々な選択肢があるのです。

「体から切り離す」という目的は同じですが、どの方法を選ぶのか、何を基準にして決めるのでしょうか?

次回、詳しく解説します。

 

(了・次回へ続く

(過去記事のアーカイブこちらから)

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