第43回 セカンドオピニオンとドクターショッピング

第43回 セカンドオピニオンとドクターショッピング

2021.6.15 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|セカンドオピニオンとドクターショッピングは違う

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●インフォームドコンセントが得られなかったとき

 

前回、しっかりとしたインフォームドコンセントのために必要なことを解説しました。

しかし、がんに限らないことですが、病気を告知された患者と家族は、多かれ少なかれ動揺します。説明がうまく頭に入ってこないかもしれないし、感情的になることもあるでしょう。あたかも医療者が病気をもたらしたかのような錯覚に陥り、不合理な怒りの矛先を向ける人もいます。また、「自分ががんになるなんて信じられない」とか、「診断ミスなんじゃないか」と疑心暗鬼になったり、病名を受け入れたとしても、「治療方法は本当にそれでいいのだろうか」と疑問に思ったりする人もいます。心情としては決して理解できないことではありません。

では、もし患者や家族が説明に納得しなかったら、もしくは納得しない素振りを見せたらどうすればいいでしょうか?その場合は、「セカンドオピニオン」を積極的に勧めるのがベストの選択肢です。

セカンドオピニオンとは、その名の通り、現在の主治医を1番目(ファースト)として、もう一人の医師(セカンド)に意見(オピニオン)を聞くことです。

セカンドオピニオンを受けて、2人の医師の意見が同じであれば、患者が納得しやすいし、治療を受ける意思も固まりやすくなるでしょう。ここで2人の医師の意見が一致するというのは、つまり、両方が「エビデンスのある標準治療」を行っている場合のことです。これはあえて強調するほどのことではありませんが、いつどこで誰に確認されても良いように、常日頃からしっかりとした標準治療を行うことが大切です。

 

さて、たとえ標準治療を行っていても、2人の医師の意見が細かいところで食い違うということはありえるでしょう。その場合は、色々なことが起こりえるので注意が必要です。より納得できる意見の医師を選べば良いとも言えますが、意見の食い違いに混乱した患者が、3番目、4番目の医師に意見を聞きに行く可能性が出てきてしまうのです。これでは「ドクターショッピング」となり、混乱が増して、時間だけが空費されていってしまいます。特に、がんのように、初動が大切な疾患においては、ここでの時間のロスはできるだけ避けなければなりません。

また、混乱した患者が、エビデンスがなく、保険診療で認められていない高額な代替療法を優先させてしまうケースもありえます。

 

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ですので、もし患者が「セカンドオピニオンを聞きたい」と言われる場合には、できるだけ評価の高い「がん診療連携拠点病院」を紹介するのがベストです。そして、治療方針に対してしっかりとしたお墨付きをもらい、患者がいたずらに思い悩む時間を最小限にするようにしましょう。仮にその結果、患者がセカンドオピニオンを求めた病院での治療を望んだとしても、当然ながら患者の意思を最優先に考えるべきです。納得のいかないまま治療を行えば、経過中に何らかのトラブルが生じる可能性は格段に高くなり、双方にとって良いことはまったくありません。

 

「担当医に悪いから、セカンドオピニオンを受けたいと言い出せない」という人もいるかもしれません。

しかし、そんな心配はまったく不要です。なぜなら、セカンドオピニオンを受けに行ってもらうことは、医療者にとっても非常に有益なことなのです。

たとえば納得がいかないまま治療を行なって、何らかの副作用が出た場合、たとえその副作用が十分ありうることであったとしても、トラブルに発展する可能性は十分あります。

そのため、セカンドオピニオンによって患者が自分の病気について理解を深めておいてもらうことは、実は医師にとっても大変ありがたいことなのです。

そのことを理解せずに、セカンドオピニオンを受けたいと言って不機嫌になるような医師は、早めに見切りをつけたほうが良いでしょう。

 

(了・次回へ続く

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