第41回 続・治療方法を選ぶメカニズム

第41回 続・治療方法を選ぶメカニズム

2021.5.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|専門家の知識を集めるのが「集学的」な治療

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●キャンサーボード:患者さんごとに最良の治療方法を見つける

 

前回に引き続き、がんの集学的な治療について解説します。

がんの治療方法は、ステージ別におおむね決まっています。しかし、ステージ○であれば○○療法といったような画一的な対応ではなく、がんの性質、治療経過、患者の全身状態、社会的状況などを加味しながら、様々な治療方法を組みわせていきます。

 

たとえば大腸がんのステージIII期(リンパ節転移があるが、肝転移、肺転移、腹膜播種はない)の場合、まず手術によって原発巣や所属リンパ節を切除します。現状では遠隔臓器への明らかな転移は認められませんが、もしかすると画像検査に写らないようなごく小さな転移巣が育ちつつある可能性は否定できません。そのため、手術の「後」に化学療法を追加して、検出できない小さな病巣の芽をつぶしておきます。これを、「術後補助化学療法(アジュバント療法)」といいます。つまり、外科療法と化学療法を組み合わせるのです。

 

さらには、たとえば乳がんの場合に、手術をする「前」に化学療法を施行しておき、病変を小さくした後で手術をする場合もあります。

切除範囲をできるだけ小さくして、失われる機能を最小限にするのが目的です。これを、「術前補助化学療法(ネオアジュバント療法)」といいます。そして、手術後に放射線療法や術後化学療法などを適宜追加します。この場合は、外科療法+化学療法+放射線療法です。

 

*化学療法以外に、ホルモン療法や分子標的薬による治療も行われますが、ここでは分かりやすさを優先して化学療法に統一しています。

 

そして、どのステージ、どの経過であっても、患者さんの肉体的・精神的な苦痛は緩和ケアによって対処します。


665第41回ぶん修正20210413.jpgキャンサーボードとは、外科療法(手術)や化学療法、放射線療法の専門医や、その他の医療スタッフ等が集まって、がん患者の症状、状態、治療方針などを多角的に検討するための会議のことです。

「集学的な治療」というのは、単に治療方法を組み合わせるというだけではなく、様々な専門家が集まって、意見を出し合い、患者さんごとにベストな治療方法を見つける、ということなのです。

 

(了・次回へ続く

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

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