第39回 がん病理診断のメカニズム

第39回 がん病理診断のメカニズム

2021.4.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|がんは、画像検査だけでは診断できない

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

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テーマ●がんの病理検査とその診断

 

画像検査でがんの存在を疑った場合にどうすればいいでしょうか?

画像だけでは、確定診断まで至らないケースも多々あります。

たとえば、胃がんだと思ったら胃の悪性リンパ腫だった、または転移性の胃がんだったという場合です。そのうちのどれなのかによって、胃がんの手術なのか、抗がん剤を使った化学療法なのか、原発巣を探すのかなど、治療方法が大きく変わってきます。

ですので、病変を見つけた場合には、できる限り確定診断に肉薄して、より適切な治療方法を選択することが大切です。そのために有用なのが「病理検査」です。

 

病理検査には大きく分けて、「細胞診」「組織診」の2種類があります。

細胞診はブラシなどで病変をこすったり、尿や痰を採取したりして、悪性の細胞がないかどうかを見る検査です。

組織診は、細胞の集まりである組織を採取して調べる検査です。対象が大きい組織診の方が、より正確になります(もちろん、病変からきちんと組織が採れているかどうか、という問題は残りますが)。

たとえば、胃カメラ(胃内視鏡)で腫瘍を見つけたら、鉗子を使って組織診を行います。このときに、ブラシで細胞診をすることは決してありません。

臓器の特性や検体の採取しやすさなどによって、細胞診になるのか、組織診になるのかが決まります。

 

しかし例外的に、子宮頸がんなどの場合は、細胞診と組織診を両方行うことがあります。

子宮頸がん検診として細胞診を行い、異常な細胞が見つかったら、より正確な診断のために組織診を行います。

 

ではなぜ細胞診があるのでしょうか? 

最初から組織診にすればいいではないか、と思うかもしれません。

 

これにはいくつか理由があります。

まず、子宮頸がん検診のような「スクリーニング」の場合には、細胞診のほうがむいています。組織診だと、組織を一定量削る必要があるため、痛みが生じます。また少量とはいえ出血することも多く、場合によっては止血処置が必要になります。さらにはコストも組織診のほうがかかります。ですので、スクリーニングの場で、「がんがあるかどうかわからない受診者全員の組織をしっかり採取する」ということは現実的にはできません。まずは細胞診でふるいにかけて、悪性を疑われた場合に組織診を追加する、という手順を踏むことになります。

また、尿や痰、胸水、腹水などに異常な細胞がないかどうか調べる場合は、細胞診しかありません。原則的に「大きな組織を採ってくる」ということはできません。

以上のようなケースでは、細胞診が優先されるのです。

 

665マンガ39.jpgマンガで解説した通り、クラス分類、グループ分類は非常に似ているので注意してください。

また、もう1点大事なことがあります。

患者さんの中には、クラス分類、グループ分類と、ステージ分類を混同してしまう人が多数いるのです。

 

ステージ(病期)とは、がんがどの程度進行しているかを示す指標です。

たとえば大腸がんの場合には、

 

ステージ0…がんが粘膜にとどまる

ステージⅠ…がんが固有筋層にとどまる

ステージⅡ…がんが固有筋層の外まで進行している

ステージⅢ…リンパ節転移がある

ステージⅣ…肝転移、肺転移、腹膜播種の少なくとも1つがある

 

となっています。

大腸内視鏡を行ってポリープを切除し、「グループ4でしたが、切除しきれているので大丈夫です」と説明しても、

「エッ! ステージIVなんですか? もう転移しているのですか!?」とびっくりしてしまう患者さんがいます。

中には言葉では出さずに、心の中で驚いている人もいるかもしれません。常に丁寧な説明を心がけましょう。

 

さて、画像検査、病理検査といって、では早速治療を……と思いますが、実はまだ1つやることが残っています。

それが前述したステージ(病期)の決定です。これが決まって、はじめて治療法の選択が可能になります。

次回、詳しく解説します。

 

(了・次回へ続く

 

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