第37回 CTとMRIを使い分ける理由

第37回 CTとMRIを使い分ける理由

2021.3.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

|検査による医療被ばくを理解するために

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

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テーマ●意外と知らないCTとMRIの使い分け

 

本連載の第35回第36回では「被ばく」について解説しました。

日本人の場合、世界平均から比べると「医療被ばく」が多いことが分かっています。

被ばくする検査、治療にはいくつかの種類がありますが、頻度から考えるとCT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)検査にもっとも目を配る必要があるでしょう。

では、もし被ばくのリスクを考慮してCT検査を避けるとしたら、代替手段としてどんな検査があるでしょうか?

1つ有力な候補になるのが、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴画像)検査です。

CTはX線を用いますが、MRIはその代わりに磁力を使って画像を撮影します。そのため、被ばくは一切ありません

しかし、MRIにもいくつかのデメリットがあり、CTに取って代わるというわけにはいかないのです。

どういった場合にはどちらが優れているのか。今回は意外と知らないCTとMRIの使い分けについて解説します。

 

CTは、人体の構成成分(骨、筋肉、脂肪、血液、水など)を、X線吸収値の差で区別して画像化します。

MRIに比べて空間分解能が高く、小さな病変まで見つけるすることができます。

ただし、頭蓋底など骨に囲まれた部位は、骨のアーチファクト(ノイズ)により画質が悪くなる場合があります。

 

665画像37修正.jpg

 

また前述した通り、被ばくするというデメリットもあります。

 

MRIは、磁力(磁気共鳴)を利用して画像を撮影します。被曝はしませんし、コントラスト分解能が高い(性質の違う組織を判別しやすい)というメリットがあります。ただし、MRIでは空気は無信号になるので、空気をたくさん含んでいる肺の撮影は困難です。

また、複数の撮影方法(T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像など)があるので、検査に時間がかかる(おおむね20分以上)というデメリットがあります。そのため、静止していられない人(意識障害、不穏状態、子どもなど)や閉所恐怖症がある人の場合には、MRIは向いていません。

従来、心臓ペースメーカーやクリップ等の機器が体内にある場合は、強磁場下で影響を受けるため、MRIは禁忌とされてきました。しかし、最近はMRIでも影響を受けない機器も増えてきたので、事前にメーカーなどに確認したほうが良いでしょう。

 

以上のように、CT、MRI両方ともに一長一短があり、部位、状況に応じて使い分けているのが現状です。

 

 

665マンガ37修正.jpgCT、MRIともに、血管内に「造影剤」を注射してから撮影する場合があります。

造影剤を使用すると、コントラストがよりはっきりして、診断能力の向上につながります。ただし、造影剤のアレルギー、腎機能低下、気管支喘息、甲状腺機能障害などがある場合は、重篤な副作用が出る可能性があるので、既往症の確認が必要です。

以上のように、CTとMRIどちらがいいのか、造影剤は使うのかどうかは、考えられる疾患、部位、緊急性、既往症などから総合的に判断しているのです。

 

(了・次回へ続く

 

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