第36回 医療被ばくの発がんリスクとは

第36回 医療被ばくの発がんリスクとは

2021.2.15 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

 

|レントゲンやCTによる被ばく―医療被ばくを考える

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●発がんリスクが高まる100ミリシーベルト(mSV)は、どれくらいの被ばくで溜まるのか?

 

 

前回は、放射線の概要について解説しました。また、放射線の単位で混乱しがちな「ベクレル(Bq)」「グレイ(Gy)」「シーベルト(Sv)」についても解説しました。

さて、被ばく量が累積で100ミリシーベルト(mSv)を超えると、発がんのリスクが高まることが報告されています。

では一般的な生活を送っている場合、被ばく量はどこまで抑えることができるのでしょうか?

また、よく話題にのぼるレントゲンやCTなどの被ばく量は一体どれくらいなのでしょうか?

 

検査による被ばくは、誰にとっても気になるポイントです。

具体的なデータを上げて説明できることが、医療従事者には求められるでしょう。

 

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平均的な日本人の場合、自然放射線による被ばく量が年間2.1mSvあり、医療被曝を合わせるとおよそ6mSvにもなります。ということは、20年もたたずに、累積100mSvになる計算です。

仮に医療被曝をゼロにしたとすれば、100mSvになる期間は、およそ50年に延長されます。

では医療被ばくは一切避けたほうが良いのかというと、そんなことはありません。

マンガ内の「被ばく線量の比較」にもある通り、胸部レントゲンは1枚0.1mSvにも満たないので、健康診断などで年に数回撮るくらいであれば、ほとんど気にする必要はありません

やはり注意が必要なのはCTです。撮り方にもよりますが、1回10mSv前後の被ばく量があるので、必要最小限にすべきなのは間違いないでしょう。

ただし、マンガでも解説した通り、100mSvを超えると発がんのリスクが高まるというのは、一瞬のうちに被ばくした、原爆被爆者のデータを基に算出されています。数年、数十年かけて100mSvに到達した場合は、リスクはもっと少ないと考えられます。ですので、被ばくを根拠にCTを一律に忌避するのも不合理です。メリット、デメリットを天秤にかけて、必要なときには、しっかりと検査を行うようにしましょう。

 

文献

環境省:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和元年度版). 

 

(了)

 

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