第34回 続・PET検査のメカニズム

第34回 続・PET検査のメカニズム

2020.12.15 update.

近藤慎太郎(こんどう しんたろう) イメージ

近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

 

PET検査の盲点とは

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●PET検査に向かない患者と臓器

 

 

前回は、PET検査の概要と、PET検査が向いている臓器と、向いていない臓器があることを解説しました。今回は、その点についてさらに解説します。

 

まずはおさらいです。

PET検査では、まず「放射性同位元素がくっついたブドウ糖(FDG)」を体内に注射します。がん細胞は活発に増殖しているため、栄養素であるブドウ糖を正常の細胞よりもたくさん取り込みます。同じように、FDGもがん細胞により多く取り込まれので、FDGの体内分布に差が出ます。その濃淡を映像化するのがPET検査です。正常な細胞よりも、がん細胞にFDGがたくさん集積するので、画像上濃い場所は、がんの存在を疑います。

 

PET検査が不向きなケースとしてまず重要なのは糖尿病患者です。糖尿病患者はそもそもPET検査を受けられません

次に、臓器として向いていないのは、「脳」「尿路(腎臓、尿管、膀胱)」「胃」「肝臓」などです。

 

では、なぜそれらが向いていないのでしょうか。

670マンガ34-1.jpg

 

以上のように、いくつか向いていないケースがあるのは確かですが、1回の検査で全身をチェックできるというのは、やはり魅力的です。特に、PET検査が非常に有用な「頭頸部がん」「甲状腺がん」「悪性リンパ腫」の3つのがんや、「膵がん」「子宮体がん」など、「対策型がん検診がなくてノーマークになっているがんが不安だ」という人は、PET検査を追加項目として検討しても良いでしょう。

また検診とは離れますが、PET検査は全身の検索をすることによって病期(ステージ)診断ができるし、がん以外にも「てんかん」や「心サルコイドーシス」「高安動脈炎などの大型血管炎」の診断にも有用です。

 

PET検査にいくつかのメリットがある一方で、デメリットとして無視できないのが「医療被ばく」の問題です。

FDGを体内に注入するだけでも被ばくしますし、高画質のCTをくまなく撮れば、さらに被ばくが上乗せされます。被ばく線量は条件や方法によって大きく変わりますが、PETとCTを合わせて、20mSv(ミリシーベルト)を越えることもあり得ます。

被ばく線量が累積で100mSvを越えると、徐々に発がんのリスクが増大していくと言われています。それを考慮すれば、PET検査はがん検診として毎年受けるような検査ではないでしょう。

 

(了)

 

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

[医学書院の《がん看護実践ガイドシリーズ]

がんゲノム医療遺伝子パネル検査実践ガイド イメージ

がんゲノム医療遺伝子パネル検査実践ガイド

ゲノム診療時代のパートナー。がん遺伝子パネル検査はこの本から始めよう。
がんゲノム医療を牽引してきたフロントランナーたちによる決定版。関連用語を網羅したキーワード集、がんゲノム医療の成り立ち、基本知識とその解説、「治験の探し方」「調査結果の読み方」「各種検査のスペック」「二次的所見とは?」などなど、はじめての医療者が必要とする情報を整理。がんゲノム医療に必要な実践知を余すところなく網羅!

詳細はこちら

サバイバーを支える 看護師が行うがんリハビリテーション イメージ

サバイバーを支える 看護師が行うがんリハビリテーション

がんサバイバーの自立を支えるために看護師が行うがんリハビリテーションを解説
がん、治療とともに日常生活を送るがんサバイバーが自立した生活を送るためのリハビリテーションが求められている。本書では、がんの治療期の患者に焦点をあて、がんリハビリテーションを実践するうえで基盤となる知識、技術について解説し、特に看護師が行う実践について取りあげている。看護師がベッドサイドなどで行うリハビリテーションや退院後の生活を想定したセルフケア指導について解説した1冊。

詳細はこちら

オンコロジックエマージェンシー 病棟・外来での早期発見と帰宅後の電話サポート イメージ

オンコロジックエマージェンシー 病棟・外来での早期発見と帰宅後の電話サポート

がん患者のエマージェンシーの早期発見と迅速な対応のために
がん患者のエマージェンシーには早期発見、迅速な対応が求められる。そのため、がんやがん治療について理解するとともに、エマージェンシーの徴候、見え方を知っておくことが重要である。本書では、症例を豊富に提示し、病棟・外来でエマージェンシーがどのように見えるのか、求められる対応、必要な知識を解説し、また外来化学療法を受ける患者の帰宅後のエマージェンシーへの対応(電話サポート)も取りあげている。

詳細はこちら

がん患者へのシームレスな療養支援 イメージ

がん患者へのシームレスな療養支援

超高齢社会に向けたこれからのがん看護に求められる知識と技術がここに
がん治療の進歩と罹患者の増加に伴い、がんとともに生きる患者が急速に増える一方、在院日数短縮化が進み、病院と在宅療養と介護サービスの適切な活用が必須となりつつある。がん患者の特性を踏まえた症状コントロールや心理的ケア、意思決定支援、限られた社会資源の調整といった「療養支援」を、治療の場と時期を問わず提供できることが病棟や外来の看護師に求められている。本書ではそれらの知識と技術を具体的に解説する。

詳細はこちら

トラックバック

http://igs-kankan.com/mt/mt-tb.cgi/1272

コメント

このページのトップへ