第32回 腫瘍マーカーのメカニズム

第32回 腫瘍マーカーのメカニズム

2020.11.15 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

 

血液だけでがんが発見できる日は来るのか?

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●がん検診と代表的な腫瘍マーカーの対応

 

前回、腫瘍マーカーであるPSAを使った前立腺がん検診について解説しました。

体内にがんができると、「がん自体」か「人体」が、がんに反応して特定の物質を作り出すことがあります。健康なときには上昇せず、がんの発生、増大に伴ってその物質の値も上昇していくのであれば、がんの補助診断として有用です。そのような性質をもった物質を総称して、「腫瘍マーカー」と呼びます。前回の復習

「PSA=前立腺がん」のように腫瘍マーカーとがんが1対1の関係であれば非常に分かりやすいのですが、実はそれは例外的なケースです。基本的に、1つのがんについて腫瘍マーカーは複数あるし、1つの腫瘍マーカーは複数のがんで上昇します。非常に複雑な関係なのです。

 

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がん検診としては、PSA以外は実用的ではないし、そのPSAもラテントがんをたくさん見つけてしまうという課題があります。

結局、腫瘍マーカーによるがん検診は難しいというのが現状です。

 

このように、血液や尿を調べることによってがん検診をしようという試みを「リキッドバイオプシー(liquid biopsy)」と呼びます。

 

実は、腫瘍マーカーだけでなく、「血中循環腫瘍細胞」「血中循環腫瘍DNA」「マイクロRNA」「アミノ酸」などを測定するリキッドバイオプシーが多数開発、研究されており、実用化を目指しています。

 

採血だけでがんの有無が分かるのであれば、肉体的、時間的な負担も少ないし、こんなに便利なことはありません。「一般的ながん検診は受けたくないけど、採血するだけだったらやってみてもいい」という人たちを掘り起こす効果もあるでしょう。リキッドバイオプシーには大変な需要があることは容易に理解できます。今後の進展に期待しましょう。

 

(了・次回へ続く

(過去記事のアーカイブこちらから)

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