第29回 子宮頸がん検診のメカニズム

第29回 子宮頸がん検診のメカニズム

2020.9.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

若年女性でもリスクの高いがんとは

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●子宮頸がんをとりまく問題

本連載ではここまで、「肺がん」や「胃がん」、「大腸がん」、「乳がん」の検診について解説してきました。自治体で行われているがん検診にはもう1つあります。それが、「子宮頸がん」の検診です。

 

子宮頸がんは、30~40歳代と比較的若い年代に多く見られるがんです。

がん情報サービスによれば、2017年の罹患数は11,012人で、2018年の死亡数は2,871人と報告されています。最近は20〜30歳代での発症も増えてきており、乳がんとともに、若年女性にとって要注意のがんと言えるでしょう。

 

第11回でも解説したとおり、頸がんの発症には、ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の感染が強く関与しています。

HPVの主な感染ルートは性行為で、その開始とともに、50~80%の女性(報告によってばらつきあり)が生涯のうちに一度は感染すると言われています。つまり、本来はごくありふれたウイルス感染なのです。

感染しても、90%以上の人は短期間にウイルスが自然に駆除されるのですが、一部の人は、数年から数十年にわたって感染が持続します。そしてその結果、頸がんを発症するリスクが上昇してしまうのです。この点は、B型、C型肝炎ウイルスやヘリコバクター・ピロリの持続的な感染が、肝がんや胃がんを発症させるのと同じ理屈です。

 

C型肝炎ウイルスやヘリコバクター・ピロリと違って、既に感染したHPVを駆除する薬はありませんが、感染する前にワクチンを接種することによって、頸がんの前がん病変を80%以上予防することが可能だと考えられています。しかし、第14回でも解説したとおり、ワクチンをめぐる様々な問題によって、日本のHPVワクチンの接種率は1%以下に落ち込んでいます

その当然の結果として、日本における子宮頸がんの罹患率はまったく減少していません。さらに、子宮頸がんには、「若年発症する」という深刻な特徴があるので、非常に厄介なのです。

 

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ワクチンを接種するだけで発がんのリスクを減らせるのであれば、本来こんなに効率的な医療はありません。

もちろん、がん検診も有用です。しかし、がん検診を受けるという意識が醸成されていない20歳代、30歳代であっても起きうる子宮頸がんを、ワクチンで予防できるのであれば、それがセーフティーネットとしてもっとも有効であることは間違いありません。

HPVワクチンに関しては様々な議論がありますが、積極的な接種勧奨に向けて、一刻も早く進んでいくべきでしょう。

 

(了)

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