第27回 続・大腸がん検診のメカニズム

第27回 続・大腸がん検診のメカニズム

2020.8.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
●公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著は『ほんとは怖い健康診断のC,D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』。日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』JBpress連載『パンデミック時代の健康管理術

 

 

|大腸ポリープは便潜血検査で診断できる? 

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

(過去記事のアーカイブこちらから)

 *ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中

 

テーマ●大腸がん検診のゴールドスタンダード

 

大腸がんの発生ルートには2種類あると言われています。

1つは正常粘膜からいきなりがんができるルート。このルートからできるがんを「de novo(デノボ)がん」と呼びます。「de novo」は、「はじめから」という意味です。

もう1つは、第8回で解説したように、まず腺腫というポリープができて、遺伝子変異が蓄積していくことによってがん化する経路です。

腺腫(adenoma)からがん(carcinoma)ができるので、この経路を「adenoma-carcinoma sequence(アデノーマ-カルシノーマ・シークエンス)」と呼びます。

 

「de novoがん」と「adenoma-carcinoma sequence」の、どちらの経路がどれくらい多いのかは、今のところわかっていません。ただし、見つかった大腸ポリープをすべて切除することによって、大腸がんの罹患率が90%減ったという報告1)があることから、後者のほうが多いのだろうと推測されています。

 

ポリープは大腸がんになる可能性をもっている「前がん病変」なので、ポリープの切除は大腸がん予防のためには非常に有効な戦略と言えます。

ではそんなポリープを、便潜血検査で見つけることができるのでしょうか?

 

便潜血陽性になった47人と、同時期に便潜血陰性になった383人の、両グループに大腸内視鏡検査を施行したところ、便潜血陽性のグループは46.8%にポリープがあり、陰性のグループは24.8%にポリープがあったという報告があります2)。少しわかりにくいのでマンガで解説しましょう。

  

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ここで、もしかすると「ポリープのあり、なしは大腸内視鏡検査の結果で決めているけど、それが一番正しいという前提で良いの?」と思った人もいるかもしれません。そこは非常に重要なポイントです。

本当にポリープがあるのか、ないのかは、もちろん神さまが教えてくれるわけではないので、「どの検査がもっとも正確なのか」をあらかじめ決めて、それを基準にして判定するしかありません。この、「もっとも正確な検査」とみなされるものを、Gold standard(ゴールドスタンダード」と呼びます。大腸の場合は現在のところ大腸内視鏡検査ですが、すべての臓器に関して、ゴールドスタンダードは時代とともに変遷していくものと考えてよいでしょう。

 

文献

1) Winawer SJ., Zauber AG, Ho M.N, et al: Prevention of colorectal cancer by colonoscopic polypectomy: the National Polyp Study Workgroup. N Engl J Med. 1993; 329: 1977–1981.

2) 近藤慎太郎, 加納美樹子, 谷禮夫,他:スクリーニング大腸内視鏡検査と同時に施行した便潜血検査の、大腸腺腫に対する診断能について.人間ドック(第55回日本人間ドック学会学術大会抄録集), 29(2),279,2014.

 

(了)

 

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