第9回 がん家系と遺伝のメカニズムとは

第9回 がん家系と遺伝のメカニズムとは

2019.11.05 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
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公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』がある。
日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』

 

| がん家系―がん抑制遺伝子の異常 

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

自らのクリニックでの診療を拠点に、2つの総合病院で消化器内科の臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が認められることをライフワークにしています。

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テーマ●がん患者の子孫は発がんリスクが高い!?

 

第7回第8回と続けて、がんを発生させる遺伝子について解説しました。

がん抑制遺伝子、がん遺伝子、そして遺伝子のON/OFFを決めるエピジェネティクス……。

現在までの医学研究から、遺伝子とそれをコントロールするエピジェネティクスの異常(以下、「遺伝子異常」)が、発がんの本質的な要因であることがわかっています。

 

すると、ここで重要な問いが生じます。

遺伝子異常が発がんのリスクを上げるのであれば、それは発がんした人の子孫にも受け継がれていくのか?ということです。

 

 

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遺伝性のがんであるHNPCC(リンチ症候群/遺伝性非ポリポーシス大腸がん)、FAP(家族性大腸ポリポーシス/腺腫症)、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん)はいずれもがん医療の専門家の間では有名な疾患ではあるものの、発生の頻度は高くはありません。

遺伝性のがんは、基本的には特定のがんのリスクを上げます。

しかし、その一方、「がんの種類はバラバラだけど、親族にがん患者がとても多い」という家族歴を持つ人もいます。

そういった、いわゆる「がん家系」には、どんな遺伝子異常がありうるのでしょうか?

 

この場合、p53などの「がん抑制遺伝子」の異常が、家系の中で代々引き継がれている可能性があります。

 

私たちの遺伝子は両親(父母)から1つずつもらって、2つで1セットになっています。

1つのp53に変異があっても、もう1つが正常であればブレーキの役目はきちんと果たします。

 

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ただし、生きている間にもう1つのp53にも変異が起これば、がん化のリスクは高まります。

つまり、普通の人は両方のp53が変異するという、「2段」の階段を上がらないとがん化しないところを、すでに「1段階段を上がった状態」にあるのです。その結果、やはり親族にがんが集積する可能性が高くなってしまいます。

 

「がん抑制遺伝子の異常」を引き継ぐ可能性は1/2なので、親族にがんが多くても、実は自分はまったく問題ないというケースもありえます。

しかし、いずれにしてもがん検診などはしっかり受けて、早期発見に努めたほうが良いでしょう。

 

がん検診については、機会を改めて解説しましょう。

 

(了)

 

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