第6回 がん死は減っている

第6回 がん死は減っている

2019.9.15 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
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公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』がある。
日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』

 

がんで死ぬことの変化 高齢者の増加で死者の総数は増えているが…|

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

今年開設した自らのクリニックでの診療を中心に、2つの総合病院で臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広くわかりやすく解説し、この国で予防医学が普及することをライフワークにしています(第1回第2回第3回第4回第5回)。

 

テーマ●がんの粗死亡率

 

前回は、罹患率や死亡率を比べる場合に、年齢調整する必要があることを解説しました。

年齢調整するかしないかで、データの見方というのは大きく変わってきます。

第1回で示した「主な死因別に見た死亡率の年次推移」のグラフを再掲しましょう。

新 グラフ20190830 - コピー.jpg

 

がんの上昇傾向は圧倒的で、がんで亡くなる人がどれだけ多いのかを強く印象付けます。

しかし、年齢調整するとどうなるでしょうか? 

実は、まったく違う風景が見えてくるのです。

「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳血管疾患」に限定したグラフにして、マンガで解説しましょう。

 

新 6回20190830 - コピー.jpg

このように、年齢調整死亡率と粗死亡率ではグラフから受ける印象がまったく変わってきます。

前者を見ればわかる通り、がんの死亡率は徐々に減少しているのです。

これは、がんの治療方法が進歩していることや、がん検診によって早期発見・早期治療が可能になってきていることなどによる恩恵です。

 

しかし、世の中には医療に関する間違った解釈を堂々と主張する本やウェブサイトがたくさんあります。

たとえば、粗死亡率のグラフだけを見せて「がんで死ぬ人はどんどん増えている。現行のがん治療、がん予防に効果はないんだ」と主張すれば、ミスリードされてしまう人も出てくるでしょう。

医療者には、その提供するキュアやケアの前提となっているデータを正しく読み解き、それを一般の人たちに対してできるだけわかりやすく、そして根気強く説明し続ける必要があるのです。

 

ただし、1点だけ注意点があります。

がんの部位別の年齢調整死亡率に示されている通り、大半のがんの死亡率は下がってきていますが、その傾きにはかなり差があります。

胃がんと肝臓がんは大きく下がっていますが、その他のがんの下がり方はなだらかになっています。

ここの差がなぜ生まれるのか、そしてなだらかなものは、どうすればもっとしっかり下げることができるのか

 

後続する各論の回で、改めて解説していきます。     

 
(了)

 

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