第5回 がんの年齢調整死亡率

第5回 がんの年齢調整死亡率

2019.9.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
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公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』がある。
日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』

 

| がん統計に用いる「数」と「率」の違い |

 

医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

今年開設した自らのクリニックでの診療を中心に、2つの総合病院で臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広く、わかりやすく解説し、この国で予防医学が認められるようことをライフワークにしています(第3回第4回)。本連載の第1回第2回で、がんの罹患率と死亡率について解説しました。

罹患率というのは、一定期間(通常1年)の間に、人口10万人のうち、その病気を新たに診断された人の数 です。

「新たに」ということは、その時点で、その病気を患っている人の「総数」ではない、ということです。

 

X年のがんの罹患率は、

「X年に新たに診断された数/X年の人口×100,000」

で表わされます。

 

一方、死亡率いうのは、一定期間(通常1年)の間に、人口10万人のうち、その病気で死亡した人の数 です。

 

X年のがんの死亡率は、

「X年にがんで死亡した数/X年の人口×100,000」

で表わされます。

 

なぜ「率」で表現するのでしょうか。そのほうが総人口の変動に左右されないというメリットがあるからです。

「1年ぐらいでそこまで人口は変わらないのでは?」と思われる人もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。

総務省統計局によると、たとえば2019年7月1日現在の日本の総人口1億2622万人ですが、前年同月に比べ「31万人も」減少しているのです。 

 

では数の調整だけすればいいのかというと、もう1つ考慮に入れなくてはいけない要素があります。

それが「年齢調整」です。

 

 

テーマ●年齢調整死亡率

 

マンガ5掲載用.jpg

 

医療もそうですが、介護であっても年金であっても、社会保障制度が持続可能であるためには、「健康な大多数の人」が「問題を抱えている少数の人」を支えるという構図が必要です。

つまり、若くて健康な人が多いという、「ピラミッド型の人口構成」が前提として必要になっています。

では果たして日本の場合はどうかというと、2015年の人口構成は、ピラミッド型からは遠く離れた非常にいびつなものになっているといわざるを得ません。

(1985年の人口構成が理想的なわけでもありませんが)

 

日本の社会保障は、これからの10年・20年間で、今までより数段厳しい状況に直面することになります。

そしてその結果、社会保障のかたちは大きな変容を迫られることになるでしょう。財源が同じであれば、分け合う人が多くなれば一人ひとりに使える金額は減ります。

またそのあおりを受けて、医療に使える金額も減っていくかもしれません。

そのような大きなうねりの中で、医療に従事し、ケアを提供する私たちは、目の前の医療だけではなく、その先に何が待ち受けているのかの「未来」を予想して行動していくことも求められているのです。

 
(了)

 

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