かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2019.8.01 update.
東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
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公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』・『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』がある。
日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』
| 専門家がとらえる「がん」は
どういった特徴のある病気か |
医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。
今年開設した自らのクリニックでの診療を中心に、2つの総合病院で臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広く、わかりやすく解説し、この国で予防医学が普及することをライフワークにしています。
*ガストロペディア【消化器に関わる医療関係者のために】でも公開情報共有中
日本人のがんの罹患率、死亡率はとても高く、個人レベルはもちろん、社会的にも非常に大きな問題となっています(第1回・第2回)。
そんながんですが、では「がん」とは一体どういう病気でしょうか?
だれしもイメージは持っていると思いますが、医療職=専門家に必要な正確な知識として、がんを定義する3つの特徴があるのです。早期のがんを見つけたときに、「本当にがんなのかどうか確かめるために転移するまで様子を見る」なんていうことは、現実的にはもちろんできません。せっかく早く見つかったのだから、侵襲の少ない方法で早く治療すべきです。
しかしこの問題を突き詰めていくと、意外と難しい問題に突き当たってしまいます。
たとえば子宮頸部には、前がん病変である「異形成」が見られることがあります。
異形成は、正常の細胞に比べて「細胞や核の大きさ、形がバラバラになっている」という特徴があります。
異形成の一部は徐々に悪性度を増し(=特徴がより顕著になる)、「上皮内新生物」になります。そしてさらに悪性度が増すと、基底膜を越えて「がん」となります。
細胞の悪性度が増していく過程というのは、シームレスに繋がっています。
「ここからここまでが異形成」で「ここからここまでが上皮内新生物」という風に峻別することは、エキスパートの病理医であっても、とても難しいことなのです。
[医学書院の《がん看護実践ガイド》シリーズ]
超高齢社会に向けたこれからのがん看護に求められる知識と技術がここに
がん治療の進歩と罹患者の増加に伴い、がんとともに生きる患者が急速に増える一方、在院日数短縮化が進み、病院と在宅療養と介護サービスの適切な活用が必須となりつつある。がん患者の特性を踏まえた症状コントロールや心理的ケア、意思決定支援、限られた社会資源の調整といった「療養支援」を、治療の場と時期を問わず提供できることが病棟や外来の看護師に求められている。本書ではそれらの知識と技術を具体的に解説する。
がんサバイバーの自立を支えるために看護師が行うがんリハビリテーションを解説
がん、治療とともに日常生活を送るがんサバイバーが自立した生活を送るためのリハビリテーションが求められている。本書では、がんの治療期の患者に焦点をあて、がんリハビリテーションを実践するうえで基盤となる知識、技術について解説し、特に看護師が行う実践について取りあげている。看護師がベッドサイドなどで行うリハビリテーションや退院後の生活を想定したセルフケア指導について解説した1冊。
がん患者のエマージェンシーの早期発見と迅速な対応のために
がん患者のエマージェンシーには早期発見、迅速な対応が求められる。そのため、がんやがん治療について理解するとともに、エマージェンシーの徴候、見え方を知っておくことが重要である。本書では、症例を豊富に提示し、病棟・外来でエマージェンシーがどのように見えるのか、求められる対応、必要な知識を解説し、また外来化学療法を受ける患者の帰宅後のエマージェンシーへの対応(電話サポート)も取りあげている。