第1回 死亡率から捉える、がんで死ぬということ

第1回 死亡率から捉える、がんで死ぬということ

2019.7.01 update.

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近藤慎太郎(こんどう しんたろう)

東京都出身。近藤しんたろうクリニック院長(渋谷区)。北海道大学医学部・東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター(内視鏡室長)、クリントエグゼクリニック(院長)を歴任し、開業、現職。消化器内科専門医として年間2,000件以上の内視鏡検査と治療に携わる。特技はマンガ。本連載でも、絵と文ともに描き下ろしている。
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公式ブログ『医療のX丁目Y番地』
著書に、Amazonでベスト&ロングセラーになっている『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』『がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」』。近著に『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』がある。
日経ビジネスオンライン連載『医療格差は人生格差』

 

| 現場の方に読んでほしい! 

がん知識の整理と向上のために |

 

はじめまして、医師兼マンガ家の近藤慎太郎です。

今年開設した自らのクリニックでの診療を中心に、2つの総合病院で臨床にあたるとともに、自作のマンガを使って、エビデンスに基づいた医療情報を広く、わかりやすく解説し、この国で予防医学が認められるようことをライフワークにしています。近著として『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』を執筆しました。(今週全国発売です♪)

 

今回、看護師さんを中心とする医療従事者が主である「かんかん!」読者の皆さんのための連載を始めることになりました。

臨床現場ではもちろんのこと、がんを社会全体の枠組みの中でとらえることによって、医療者の行動の1つひとつがどんな意味をもつのかまで、俯瞰するような視点を持っていただければ幸いです。楽しみながら学んでいただければ嬉しいです。

 

テーマはずばり、日本人がもっとも身近に付き合っている病、

「がん」です。

ふだんの勤務で当たり前に遭遇されていて、「がんについてはよく知っているよ」と読み飛ばされる方もいるかもしれません。

でも、どうでしょう……

 

「がんという病気の定義は?」

「日本人にはどのがんが多いのか?」

「どうしてがんが生じるのか?」

「がんは遺伝するのか?」

「がん検診はどれぐらい意味(エビデンス)があるのか?」...

 

患者さんから困り顔で問われると意外と、正確な説明ができない、答えにくい問いもあるのではないかと思います。

 

がんは、現在日本人の死因第1位になっていて、

日本人の2人に1人は、がんに罹患することになります。

 

皆さん自身も避けては通れないがんという疾患について、図表とマンガを使い、できるだけわかりやすく解説するよう努めます。

ご意見・ご感想などなど、のコメント欄や公式FBページなどでお待ちしています。

 

テーマ●がんで死ぬことは、どれくらい増えている?

 

日本人はどれぐらいの人ががんにかかり、どれぐらいの人ががんで亡くなっているのでしょうか?

まず、はじめに厚生労働省の「平成30年度 我が国の人口動態」を参照して、日本人がどんな病気で亡くなってきたかの変遷を確認しましょう。
 
がんは2位の心臓病に2倍近い差をつけたダントツの1位となっています。 

医学書院第1回 - コピー.jpg

 

戦後まもなくは結核が1位でしたが、日本の環境が衛生的に改善され、抗生物質の発達により亡くなる人は激減しました。

 

代わって1位になった脳卒中も、塩分の過剰摂取が健康に良くないことが多数のエビデンスの蓄積と公表によって一般にも周知の事実となり、血圧コントロールの普及によって漸減しています。

 

一方、がんは、他の原因を大きく離しながら増加し続けています。

これは、結核に対する抗生物質、脳卒中に対する降圧薬にあたるような、がんを治療するためのインパクトをもつ、効果的な方法がいまだにないことを示しているともいえるでしょう。

 

ちなみに上の表で、1995年ごろに心疾患の死亡率が急に減り、脳卒中の死亡率が急に増えています。

前者は、「死亡診断書に心不全という病名は書かない」という取り決めになったからであり、

後者は、国際疾病分類によるルールの見直しがあったからです。

 

医療のプロである私たちが注視すべきエビデンス=基本データ不自然な動きをするときには、背後に何らかの原因があるので注意が必要です。

(了)

 

[医学書院の《がん看護実践ガイドシリーズ]

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